かけがえのない一瞬

三輪亮介の日常ブログです。ここでは仕事の近況・日々の想いなどを綴りたいと思います。

2017-01-01から1年間の記事一覧

紙さまどうかよろしくね

真っ白な紙さまに向かうときは いつだって腰が重たくなるものさ とても体力がいることだし とても集中力がいるものだから いつも音楽さんは僕と一緒だけれど 今日のところは 音楽さんもお留守番をしてもらっている 連れて行けるのはコーヒーくんだけだ やっ…

水晶玉の石

若い子ってさ そんなひとくくりで話し始めてしまうけど 今日はこの言葉から始めたい 「終わる」ということが想像できてない 「もう二度ともとに戻らない」ということも なぜだろう 彼女は「リセットしたい」と呟いていたけれど 「リセットできる」と どこか…

then and now

目の前でひらりと落ち葉が舞って 「冬が来たのだ」と思っていたけれど 毎日通る玄関の片隅に すでに落ち葉がたくさん集まっていたのを 僕は気づかなかった ちょうど宅配便のドライバーさんが来て アマゾンで頼んでいたものを思い出したけど 毎日通る玄関の郵…

北風は運べない

「一雨ごとに気温は下がってゆくでしょう」 今朝の天気予報を思い出しながら ハンドルに顎を乗せて空を見上げる 冬に向かってゆく北風の冷たさは 何も終わっていないのに終わりに向かってしまう 「切なさ」を持っている すべてをピューピューと運んでしまう…

青リンゴ

いつも結論ばかりを振りかざして 足りないものを並べて怒っている あのときの私は 彼の言葉がすべてだった 彼がいう愛 私が思う愛 色が違いすぎてとても同じものとは思えなかった 赤リンゴと青リンゴのよう 甘いようでいて とてつもなく酸っぱい 「抱きしめ…

雨音

雨の音をずっと聴いていると 悲しい気持ちと穏やかな気持ちとが コーヒーに入れたミルクのように ゆっくりと渦を巻いて混ざり合う 窓の向こうの雨音は いつか青い長靴で水たまりの中を 家まで帰った足音で かわいらしくさみしそうに鳴っている なんでこんな…

まっしろな朝

朝 取り残された水たまりで 一枚の枯葉が泳いでいる どこにも行けない 行かないけど 今日は少し浮かんだままでいよう プカプカと 明日に向かう時間と人が追いかけっこ しわくちゃのエブリデイ 心のはじっこ持って 真っ白なシーツ 今日はめいっぱい空に広げて…

遠くで聴いた花火

花火の音を 遥か彼方の惑星の爆発のように 遠くでそれを聴いている 毎年同じように迎える日でも 毎年違う顔で人々は見つめている 僕もまた僕のままでいることは難しい 隣にいた人は今年も隣にいるだろうか あのときの気持ちは今もまだ胸の中で温かいだろうか…

フェアプレイニュースvol.86「いつでも全力を尽くす」

2017年9月19日発行 「フェアプレイニュースvol.86」 日本体育協会が発行している全国の小中学校約3600校にて、廊下などに掲載される壁新聞「フェアプレイニュース」そのvol.86「いつでも全力を尽くす」の作画を担当させて頂きました。 今回の種目は「駅伝」…

ひとひらの勇気

大きな絵を描くときに 筆を長く持つように 細かい絵を描くときは 鉛筆を短く持つのさ そのとき そのときのやり方がある 大きな絵を描くのに 絵の具を集めるのも素敵だけど 今ある絵の具の中で 何が描けるのか考えるのも楽しい 決めたように歩けないときは 決…

フェアプレイニュースvol.83「自他共栄」

2017年6月12日発行 「フェアプレイニュースvol.83」 日本体育協会が発行している 全国の小中学校(約3,600校)にて、廊下などに掲載される壁新聞「フェアプレイニュース」 そのvol.83「自他共栄」の作画を担当させて頂きました。 昨年のパラリンピックのコン…

Strawberry Moon

どこに行ってもどこにも行けない 宇宙の中で迷子になった隕石のようさ 僕らの出会いは 生まれた時代も 流されてきた時間も 互い違いながら どこかで同じ瞬間を迎えている 宇宙の片隅で まだ梅雨を知らない6月の間に 思い切り笑い合いたい 小さい 冷たい足を …

僕たちだけが知っている答え

泣いてしまった 悲しかったわけじゃない 何も言えなかった自分を 何も言わず抱きしめてくれた人がいて まるで初めから場所を知っていたみたいに 冷えた心の背中をさすってくれたんだ 月に向かうような帰り道 この気持ちはどこから生まれてどこに向かうのか …

明日の光

雲と雲の間からやっと現れてくれた 消えていたのではない 誰かが見つけてくれるまで隠れていただけ 明日の光 僕は僕を知らなくて うまく身体を動かすことのできない歯がゆさで 膝を抱えて泣いていて 照らされて初めて影ができて 僕は僕の形を知ったのさ 僕は…

この手に残るもの

握りしめる 一生懸命走れば落ちてしまう 強く握っておかなくてはならない 強く握りすぎると潰れてしまう 優しく握らなくてはならない たくさん握れば零れてしまう 大切なものだけ握らなくてはならない 大切なものが増えたときには 本当に大切なものかどうか…

僕の探しもの

何かを強く願っているのに 何を願っているのか 僕にはわからない 空腹で何かを食べたいのに 何を食べたいのか 僕にはわからない 母に行く先を尋ねられても うまく答えられなかった夏休みの昼下がり ただ自転車を走らせた 目的のない旅 小さな僕が探していた…

端数

僕は自分の気持ちを四捨五入するのが苦手で 端数ばかりが無理数みたいに続いてしまう いったいどこで繰り上げればいいのか 繰り上げてもいいのかもわからない 悲しみと呼ぶには痛みがたりなくて 幸せと呼ぶには笑顔がたりないような気がする 直感的に誰しも…

笑ってくれたら

笑ってくれたらうれしい とてもシンプルなこと 面白い話なんか持っていない ただ君の話に耳を傾けるだけ 大きく頷き 何度も頷き 生まれたばかりの君の言葉を身体に染み込ませて わかりたくて わかりたくて 一緒に喜びたくて 一緒に悔しがりたくて 必死に君の…

許せないもの

自分なりの「こだわり」ってある 例えば恋人にするなら タバコを吸っていない人がいい 博打をしない人がいい 犬好きじゃない人がいい 「こだわり」とは「許せないもの」でもある タバコを吸う人が許せない 博打をする人が許せない 犬好きな人が許せないのだ …

夜明け

夜から朝に変わるそのひと時を 僕はとても愛しく思う 誰もいない真っ暗な土手を走ると 世界を独り占めしているみたいで 気持ちがいい 同じことを考えている人が何人もいるみたい すれ違いながら どこかでシンパシー 人はきっと一人になれないようにできてい…

4月生まれと3月生まれ

4月生まれの君の背中は眩しくて 3月生まれの僕はいつも影みたいにくっついていた 通学路を外れるのが好きで 大きなランドセル揺らして 振り回す木の棒 蹴飛ばす石ころ 最後はいつもの公園 そこが僕らのすべてだった 僕の初めてはいつも君と 部屋の中じゃ聴こ…

朝方のシャワー

朝方のシャワーは 頭を下げれば 昨夜の疲れを流してくれるようで 見上げれば 今朝の僕を新しくしてくれるようで 僕は視覚を閉じて 何かを開く 僕の頭は 誰かに洗ってもらった方が 気持ちがよくて どんなに真似てみても うまくいかなかった 一人じゃ感じられ…

幸せのレシピ

今も昔も 僕らは地球の鍋で 作り方がわからない料理を試している 道路を走る車は未来の形になったかな 電車の車窓に映る表情は 昔の人が願ったように柔らかいかな パラパラパラパラ 今日もどこかで 「幸せのレシピ」をめくる音 あの頃の君は まだ生えたばか…

はなむけの言葉

まるで、ゴール前で最後のパスを チームメイトに送るサッカー選手のように、 絶対的な信頼を寄せる音で彼を呼んでいる。 その音は、共に乗り越えてきた、 たくさんの光景で鳴らされている。 いくつの朝を一緒に迎えたか、もう数えられない。 ひとつひとつ、…

12歳の恋

絵に描いたような桜舞う入学式 僕は体育館で 不安と期待の空気を吸う 背が低い僕には 見えづらいものばかり 肩と肩の間から かかとを上げた景色が残る いつも廊下に響き渡る大きな声 ショートで元気で色黒で みんなのチャイム 君はその昔フランスを救った少…

くれいジィ

お前がジジイになった時 孫に何を語れるか 想像してみろ 「大学を留年した話」 理由もなく留年をした話 サークルに燃えすぎて留年したバカ話 どっちが面白い? 「気になる子がいた話」 何もせず何も起こらなかった話 声をかけて公衆の面前でフラれた話 どっ…

春を待つように

僕はキリンの首になって 春を待つように あなたを待った 初めて降り立つ街は 着替えたように暖かい空気で 駅前にある木目調の古い喫茶店からは 焼いたパンの香りとコーヒーを挽く音がした 新聞を広げながらカプチーノ 知らない人が窓際で朝を始めている 信号…

投影図

その建物は空から眺めていると 丸い形をしていて 僕は円柱のようなビルを想像していました でも いざ地上に下りて正面に立ってみると 三角の形をしていて 円錐のようなビルだったのです 僕は戸惑いながらも 入口の警備の人に会釈をして 鋭い自動ドアに吸い込…

大切なものは目に見えない

大切なものは目に見えない 誰にも見えない「未来」を 思うように描いてみただけさ 僕が描いた絵 「夢」という絵 誰にも見えない「空気」を 場に合わせて読んできただけさ 僕が読んだ本 「嘘」という本 誰にも見えない「気持ち」を 拳を握るように込めてみた…

感情

この感情はなんだろう 隣り合わせの感情が 僕の中を行き来しているのか 二つのドアの前で 僕が右往左往しているのか どちらにせよ一つじゃない 二つのまま進んでいく 人は生まれながらに 善なのか悪なのか 生きていく中で 染まっていく生き物なのか どちらに…