かけがえのない一瞬

三輪亮介の日常ブログです。ここでは仕事の近況・日々の想いなどを綴りたいと思います。

散文詩

本気

満足できるものとは程遠かったが 自分が最後に自分に納得するために やれるだけのことをやる 拍手が起こらないカーテンコールで 胸を張れるかが重要だ 開き直りではなく受け入れる覚悟が 胸に生まれているかが重要だ 真面目か遊び人かは重要ではない 本気か…

血豆

ねえ 僕には何ができるだろう 誰かの命を救えるような手も 誰かに夢を与えるような足も 誰かを包み込めるような背もない 何もできないくせに 何かができるようになりたくて 必死で練習したのは“鉄棒”だった 血豆が潰れて 大事な試合のときに 鉄棒から落ちて…

星に願いを

果てがない意識の中に 一筋の光が見える まるで闇夜に浮かぶ月のよう それでも晴れない明日の空に どこまで僕は待てるだろう 信じられるだろう みんなに向けられながら 誰にも向けられていない 天気予報のように 待つのにも才能がいる 走ることに才能がある…

途中下車

私の背中に 翼はあるだろうか あっただろうか 跳んで 跳んで 私は私になる 車窓に映る景色は 毎日同じなのに それを見つめる私の顔は その日その日で違う 考えて考えすぎると 面倒くさくなってしまう 離してしまいたくなる その価値をわかっているのに その…

新しい朝に開く双葉

命を燃やす話を聴くと 僕はいま 燃えているだろうか 夢中で生きているだろうか あの頃の自分に負けないくらいの 大人になれているだろうか いくつもの自問が 心にふつふつと生まれてくる 悲しみの淵を歩く人がいると 砂場の縁石の上を 俯きながら ずっと歩い…

春が来る

春が来る 結局出せなかった手紙も いつか読まなくなってしまった本も どうしても思い出せない映画の結末も そのまま そのまま 僕らは歩く 3月の風の中を 日差しと風に肩を揺らす草花たち 歌なんか流れていないのに 何かに合わせるように 鼻歌なんか歌ってし…

「後悔」の裏側

戦いを終えた戦士が 冬の終わりに泣いた 誰のためだった 何のためだった こぼれ落ちた涙は 誰に向けて書いたのかわからない 夏休みの読書感想文のように 誰にも どこにも 行く宛がない 戦車のような勇気と 裸のような勇気と その時々で使う勇気は違うのに わ…

今日も風が吹く

たとえば今日の朝焼けを 僕らは地図のように記すことはできない たとえば今日の気持ちを 僕らは写真のように残すことはできない 薄らいでゆくもの 移ろいゆくもの 流れゆくもの そういうものに僕らは囲まれている そういうものを僕らは掴みたがっている 風が…

魚座の孤独

すべての時間を 何に使うのか 何のために使うのか 誰のために使うのか 使ったあとにどうするのか 時間は決して戻らない 時間は消える そして時間は消していく だから写真を撮る 絵を描く 音楽を聴く 話をする 話を聴く 大きな波の流れに抗うように 僕たちは…

時代

「時」は僕らの意思に関係なく川のように淀みなく流れていくが「時代」は川のように自然と流れるものではない人が作るものだ他人同士の各々の意志と意志の錯綜の中に偶発的に しかし必然的に築き上げられるものだ「1950年代に生まれたかった」そう 高校生の…

あなたが文章を書き続ける理由

今日もたくさんの文字で世界は満ち満ちている。 新聞、雑誌、ブログ、SNS・・。 ビジネスや目的を持って書いている方もいる一方で、趣味や日記のような感覚で文字を起こしている人もたくさんいる。 僕の周りにも、判を押したような日常の繰り返しに、どうに…

夢 自分自身を信じるしかないんだ やめてしまえば それまでなのだから by ジャマール NHKハイビジョンスペシャル『トップ・デザイナーはこう育てられる』(初回放送2001年)。 アントワープ王立芸術アカデミー・ファッション科。世界中から集まったクリエイ…

紙さまどうかよろしくね

真っ白な紙さまに向かうときは いつだって腰が重たくなるものさ とても体力がいることだし とても集中力がいるものだから いつも音楽さんは僕と一緒だけれど 今日のところは 音楽さんもお留守番をしてもらっている 連れて行けるのはコーヒーくんだけだ やっ…

水晶玉の石

若い子ってさ そんなひとくくりで話し始めてしまうけど 今日はこの言葉から始めたい 「終わる」ということが想像できてない 「もう二度ともとに戻らない」ということも なぜだろう 彼女は「リセットしたい」と呟いていたけれど 「リセットできる」と どこか…

then and now

目の前でひらりと落ち葉が舞って 「冬が来たのだ」と思っていたけれど 毎日通る玄関の片隅に すでに落ち葉がたくさん集まっていたのを 僕は気づかなかった ちょうど宅配便のドライバーさんが来て アマゾンで頼んでいたものを思い出したけど 毎日通る玄関の郵…

北風は運べない

「一雨ごとに気温は下がってゆくでしょう」 今朝の天気予報を思い出しながら ハンドルに顎を乗せて空を見上げる 冬に向かってゆく北風の冷たさは 何も終わっていないのに終わりに向かってしまう 「切なさ」を持っている すべてをピューピューと運んでしまう…

青リンゴ

いつも結論ばかりを振りかざして 足りないものを並べて怒っている あのときの私は 彼の言葉がすべてだった 彼がいう愛 私が思う愛 色が違いすぎてとても同じものとは思えなかった 赤リンゴと青リンゴのよう 甘いようでいて とてつもなく酸っぱい 「抱きしめ…

雨音

雨の音をずっと聴いていると 悲しい気持ちと穏やかな気持ちとが コーヒーに入れたミルクのように ゆっくりと渦を巻いて混ざり合う 窓の向こうの雨音は いつか青い長靴で水たまりの中を 家まで帰った足音で かわいらしくさみしそうに鳴っている なんでこんな…

まっしろな朝

朝 取り残された水たまりで 一枚の枯葉が泳いでいる どこにも行けない 行かないけど 今日は少し浮かんだままでいよう プカプカと 明日に向かう時間と人が追いかけっこ しわくちゃのエブリデイ 心のはじっこ持って 真っ白なシーツ 今日はめいっぱい空に広げて…

遠くで聴いた花火

花火の音を 遥か彼方の惑星の爆発のように 遠くでそれを聴いている 毎年同じように迎える日でも 毎年違う顔で人々は見つめている 僕もまた僕のままでいることは難しい 隣にいた人は今年も隣にいるだろうか あのときの気持ちは今もまだ胸の中で温かいだろうか…

ひとひらの勇気

大きな絵を描くときに 筆を長く持つように 細かい絵を描くときは 鉛筆を短く持つのさ そのとき そのときのやり方がある 大きな絵を描くのに 絵の具を集めるのも素敵だけど 今ある絵の具の中で 何が描けるのか考えるのも楽しい 決めたように歩けないときは 決…

Strawberry Moon

どこに行ってもどこにも行けない 宇宙の中で迷子になった隕石のようさ 僕らの出会いは 生まれた時代も 流されてきた時間も 互い違いながら どこかで同じ瞬間を迎えている 宇宙の片隅で まだ梅雨を知らない6月の間に 思い切り笑い合いたい 小さい 冷たい足を …

僕たちだけが知っている答え

泣いてしまった 悲しかったわけじゃない 何も言えなかった自分を 何も言わず抱きしめてくれた人がいて まるで初めから場所を知っていたみたいに 冷えた心の背中をさすってくれたんだ 月に向かうような帰り道 この気持ちはどこから生まれてどこに向かうのか …

明日の光

雲と雲の間からやっと現れてくれた 消えていたのではない 誰かが見つけてくれるまで隠れていただけ 明日の光 僕は僕を知らなくて うまく身体を動かすことのできない歯がゆさで 膝を抱えて泣いていて 照らされて初めて影ができて 僕は僕の形を知ったのさ 僕は…

この手に残るもの

握りしめる 一生懸命走れば落ちてしまう 強く握っておかなくてはならない 強く握りすぎると潰れてしまう 優しく握らなくてはならない たくさん握れば零れてしまう 大切なものだけ握らなくてはならない 大切なものが増えたときには 本当に大切なものかどうか…

僕の探しもの

何かを強く願っているのに 何を願っているのか 僕にはわからない 空腹で何かを食べたいのに 何を食べたいのか 僕にはわからない 母に行く先を尋ねられても うまく答えられなかった夏休みの昼下がり ただ自転車を走らせた 目的のない旅 小さな僕が探していた…

端数

僕は自分の気持ちを四捨五入するのが苦手で 端数ばかりが無理数みたいに続いてしまう いったいどこで繰り上げればいいのか 繰り上げてもいいのかもわからない 悲しみと呼ぶには痛みがたりなくて 幸せと呼ぶには笑顔がたりないような気がする 直感的に誰しも…

笑ってくれたら

笑ってくれたらうれしい とてもシンプルなこと 面白い話なんか持っていない ただ君の話に耳を傾けるだけ 大きく頷き 何度も頷き 生まれたばかりの君の言葉を身体に染み込ませて わかりたくて わかりたくて 一緒に喜びたくて 一緒に悔しがりたくて 必死に君の…

許せないもの

自分なりの「こだわり」ってある 例えば恋人にするなら タバコを吸っていない人がいい 博打をしない人がいい 犬好きじゃない人がいい 「こだわり」とは「許せないもの」でもある タバコを吸う人が許せない 博打をする人が許せない 犬好きな人が許せないのだ …

夜明け

夜から朝に変わるそのひと時を 僕はとても愛しく思う 誰もいない真っ暗な土手を走ると 世界を独り占めしているみたいで 気持ちがいい 同じことを考えている人が何人もいるみたい すれ違いながら どこかでシンパシー 人はきっと一人になれないようにできてい…