40代の幕開けはダイエットから
40歳を迎えた。
「迎えた」という言葉がしっくりくる。言葉通り、ずっと心は構えていたから。
30代の僕は、「集約した=convergent」10年を目指した。20代は、英語劇、ボランティアミュージカル、会社員、塾講師、イベントなど、本業である(にしたい)マンガ以外での活動があまりにも多かった。それはそれで、マンガを描くときにすべて糧になるのだけれど、それにしたって、マンガへ割り当てる時間が少なかった。
だから、30代を迎えるにあたって、一旦すべて切り離して、マンガ1本の活動にシフトすることを目標にした。
結果から言えば、僕は塾もほとんど出ることができないくらいマンガを描いていたし、書籍・広告・エンタメなど、幅広く作品を発信することができた。やっと「マンガ家」と名乗れるくらいにはなったと思う。
その制作活動の中で、節々に感じたことがある。
「協働」の難しさだ。
「マンガなのに協働?」と思うかもしれない。だけど、現在のマンガ制作の主流は、ネームからカラーまで1人ですべて描く従来のスタンスよりも、複数人で分業して制作を進めることの方が多くなってきている。実際、僕の仕事も、近年はネームライティングの仕事をメインにしてきた。
僕は絶対に手を抜かない。抜けない性格だ。
自分の熱量は高い。でも、みんなが一定の熱量で臨める状態にするには、一作家の立場としてできることは、限界があると感じた。文化祭で、ものすごい熱量で頑張っている実行委員と、放課後は早く部活に行きたい人との差みたいな感じ。
どんな素晴らしいマネジメント力を持っていても、やっぱりスタッフ全員の熱量を上げるのは難しい。1回はできても、次はできるとは限らない。それくらい水モノ。
熱量の高い方は、ヤキモキするし、空回りするし、協力も得られないまま、きっといいものはできないまま終わることが多い。映画やドラマなんか見ていても、そんな雰囲気を受け取ることがある。「ああ、役者の熱量はめっちゃあるのにな」「この編集者の熱量は高いのにな」とか。
この問題の解決にあたって、僕はマネジメントの立場で思考することをやめた。そもそもマネジメントの立場でもないし。できることは、「自分の心の持ちよう」くらいしかない。それによって周囲に波及するものもある。
たとえば、役者の世界でも、この役者がクランクインすると現場が明るくなる!とかある。結果、その作品が駄作になろうが、少なくとも、制作過程で一緒に仕事をしている仲間たちは楽しそうだ。
楽しく仕事をしたい。
「この人と仕事をすると楽しい」
そう思ってもらえる人になりたい。
そう思えたのは、やっぱり、僕が尊敬している人たちが一様にそんな雰囲気を纏っているからだ。思うようにならない時もある。そのほうが多い。でも、他人に当たらない。その人の周りに人が集まって来る。かつての僕は、そんなオーラを持っていたように思う。
それが、知らず知らずのうちに、鎧を着て闘うようになっていたように思う。責任や使命感を背負いながら。それでも、かつてのように、ふざけながら笑いながら本気を出せるだろうか。
わからない。
でも、目指してみようと思う。
そういえば、僕の体重は、やつれているときで58kg、近年は66kgだったのだけれど、この前久しぶりに体重計に乗ったら・・なんと・・70kgに差し掛かるところだった・・・!!
食べたいものを食べたいだけ食べても太らず、勝手に筋肉が付く不思議な体だったんだけど、そんな魔法も40歳で解けてしまったらしく、ここ1週間はダイエットを始めることに。
身体が軽くなると、思考も軽くなる。
40代。
まだまだ、やることはある。