途中下車
私の背中に
翼はあるだろうか あっただろうか
跳んで 跳んで
私は私になる
車窓に映る景色は 毎日同じなのに
それを見つめる私の顔は
その日その日で違う
考えて考えすぎると
面倒くさくなってしまう
離してしまいたくなる
その価値をわかっているのに
その価値を持ち続けることに疲れてしまう
そんなふうに離したものはきっとたくさんある
後悔はしていない
というより
後悔すらできていないのかもしれない
幾つもの駅を通り過ぎていく
途中下車した自分を想像できないように
私は 離してしまった未来を 想像できていないのだ
ビルに遮られながら
ビルから抜け出すように
光が私の顔をストロボのように照らす
どんなに素晴らしい舞台装置を作っても
光がないと何も見えない
と
ある舞台装置家が言っていた
私の背中に
翼はあるだろうか
あっただろうか
跳んで 跳んで
やっと私が私になれたときに
果たして照明は 私を照らしてくれているだろうか
本当に届けたい人に
本当に届けたい私を届けることはできるだろうか
ああ
また乗り過ごした