次に、心に生まれるもの
人生、口にしたことしか実現しないようになっている
ここ数年、「広告マンガ」を仕事の軸に置いてやってきた。
仕事は軌道に乗り、依頼は絶えない。やりとりは主にメールと電話のみであり、上司もいなければ、部下も同期もいない。好きな時間に起きて、好きな時間まで粘って、好きな時間に休む。一般社会に比べれば、かなりストレスフリーで働けていると思う。
一方で、物足りなさも感じていた。
それは、僕が仕事に集中しようと走り出したときに置いてきた、「教育」だったり「演劇」だったり、そうした“他人との協働作業”だ。そして、マンガの仕事が軌道に乗ってきた今、口癖のように「何かやりたいな」「またミュージカルやりたいな」などと、僕は周囲の友人にこぼすようになった。
そして、2021年を振り返ると、特段意識したわけではないけれど、
4月には月1講座「Ever Class」をスタートさせ、7月には「児童センターミュージカル」の台本チームに加わることになり、演出補佐までやらせてもらった。新しい出会いがあり、懐かしい再会があり、たくさんの笑顔と涙に触れた。
つくづく、人生、口にしたことしか実現しないようになっていると思う。
この年になっても、「企画運営」は、相変わらず水もので難しいし、面白い。
「演劇・運営」は、相変わらず手工業的で大変だし、そして、ものすごく熱い。
ああ、楽しかった。また、やりたい。
ひとりの創作とはひと味もふた味も違った楽しさと苦労が、そこにはある。
そして、その余韻をひとりじゃなくて、みんなで共有しながら、ご飯を食べて語らったりするのが最高に幸せだと思う。
これから、気持ちはどこに向かうだろうか
20代は切なかった。30代は楽になった。
大好きな人たちと一緒に渡りたかった橋を、一緒に渡れなくて、悲しみにくれた日があって、でも、「きっと、みんながみんな、それぞれの橋を渡っているんだ」って思えた日があって、「もう二度とあんな日々は送れないんだ」って切なくなった日があって、「いや、心から願えばいつだってこんな日々は作れるんだ」って思えた日があって、結局、「僕が今見ている景色は、僕が望んだ以上でも以下でもない」ってことに気づいて・・。
そして、次は、どんな気持ちが生まれ、どんな景色を見ているのだろうと、未来の自分を想像している。
気持ちは、今、とても燃費がいい。
燃やすべきときに燃やし、あとは穏やかに散歩をしている。
次に、心に生まれるものはなんだろう。
さあ、迎える準備をしよう。