かけがえのない一瞬

三輪亮介の日常ブログです。ここでは仕事の近況・日々の想いなどを綴りたいと思います。

桜桃(さくらんぼ)②

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あと3ページでペン入れが終わります。

The Ropesのメンバーの中では、僕は比較的ペン入れ作業は速い方です。下書きをかなりしっかり描くからです。
ペン入れ段階で、キャラのポーズや背景のパースなど、他のことを考えたくないんです。できるだけ、「線」に集中したい。

律動感
下書きをはっきり描いたからといって、「ペン入れ」はただなぞる作業ではありません。線の太さ・細さ、入り・抜きによって、絵に「律動感」が出てくるんです。
これは絵画やデッサンとかやっている方なら意識が高いのではないでしょうか。
今回は、前回課題で挙がった「もっと絵で見せる」ということを意識しているので、僕はGペン(力の入れ具合で線の太さが大幅に変わる多くの漫画家の愛用品)の走り具合に、神経を集中しているのです。
写真の絵を見てもらうと分かる通り、この原稿はこのGペンのみで描かれています(写真クリックで拡大します)。
とはいえ、理想形はそんな張りつめないでパッパとやれるのがいいのですが…。

マンガマンガとは…
前回の記事で、「今回、マンガマンガを目指すため、背景もほぼ手書きに戻しました」と書きましたが、語弊があっては困るので、この「マンガマンガ」いう言葉について、自分の考えを少し書かせてください。
「マンガマンガ」とは・・・決して「アナログ>デジタル」ということではありません。
(1)物語のわかりやすさ(映画・ドラマ・小説よりも遥かに漫画の読者層は幅広いため)
(2)画面の見やすさ(特に人物の表情がダイレクトに伝わる表現)
主にこの2点を含有しているマンガを「マンガマンガ」しているものだと大雑把に理解しています。
この2点…
僕は前の2作で完全にできていませんでした。

物語のわかりやすさに関してはネーム段階での話なので、現在は特にこの2点目について意識して描いています。

なぜ背景を手書きに戻す必要があったのか・・・
背景を写真を使って描いていくと、「写真ありき」で人物を描くはめになる。
そうなれば当然、人物のポーズは限られてきてしまう…。
もっと人物に律動感を出すためには「人物ありき」で構図、ポーズを取らなくてはいけない。
手書きのいいところは、普段見えている風景を消失点を自分で操作することによって、パースを自由に変化できることです。そうすることで、人物の動きに合わせた背景を描くことが可能になる。
つまり「人物ありき」で構図が決まってくるのです。

まぁ、大層なことを書きましたが、これは今課題として意識してやっていることなので、できているかどうかは微妙なところなのですが・・・(汗)是非、今回の作品を読んでみて、みなさんの目で前作との違いを確かめて頂ければと思います。やっぱり読者様の反応が一番の参考になるので。

次回は仕上げ作業に入っていると思うので、完成原稿の一部を公開しつつ、本作品『桜桃(さくらんぼ)』のテーマについて、お話したいと思います。