かけがえのない一瞬

三輪亮介の日常ブログです。ここでは仕事の近況・日々の想いなどを綴りたいと思います。

血豆

ねえ

僕には何ができるだろう

 

誰かの命を救えるような手も

誰かに夢を与えるような足も

誰かを包み込めるような背もない

 

何もできないくせに

何かができるようになりたくて

必死で練習したのは“鉄棒”だった

 

血豆が潰れて

大事な試合のときに

鉄棒から落ちてしまったっけ

 

あの

落ちてゆくときに見た

体育館の天井と照明が

今もまだ

僕の瞼に焼き付いている

 

ああ

やっぱりダメだった

 

そんな言葉が頭の中に過って

ドスンと小さくマットに落ちた

 

なぜ

あのときのことが思い出されるのだろう

 

僕が誇りたかったのは何だったのか

大車輪や空中逆上がりが何回できたとか

一糸乱れずきれいに着地できたとか

そんなことじゃない

 

 

血豆だ

 

 

あの痛くて痛くて

みすぼらしい血豆だ

僕をあのときマットに落とした血豆だ

 

あの血豆こそ

あのときの僕の証

すべてをかけた証

僕が僕である証だった

 

そして

 

今も胸を張って誇れる

僕にできたものだった