青リンゴ
いつも結論ばかりを振りかざして
足りないものを並べて怒っている
あのときの私は 彼の言葉がすべてだった
彼がいう愛 私が思う愛
色が違いすぎてとても同じものとは思えなかった
赤リンゴと青リンゴのよう
甘いようでいて とてつもなく酸っぱい
「抱きしめる」と書くと温かいが
「抱き締める」と書くと怖さがある
「想い」には空を飛んで行く自由があるが
「重い」には鎖に繋がれた鉄球の束縛がある
彼はよく「信じていたのに裏切られた」
と言っていたけれど
と言っていたけれど
そんなことを言ったら
子ども達はどこに夢を書けばいいのだろう
恋人達の「ずっと一緒にいよう」は
きっと約束だったとしても約束ではなく
それは「願い」だ
言ったことを実行できなかったら罪だろうか
人も 言葉も 夢も 想いも 時代も 変わる
変わっていい
誰が責めることができるだろう
変わることを責められて
変わって行く自分を責めながら生きることは
とても苦しい
「今この瞬間に感じる想いを
言葉にすることを怖がってはダメだ」
言葉にすることを怖がってはダメだ」
そう思えるようになったのは
彼と別れてずいぶん経ってからのことだった
「愛」という言葉は 力強くて ズルい
チャンスを与え やり直し
もう一度信じてみたくなる
「愛」とは「支配」ではないのに
そんなのわかりきっていることなのに
私は彼に抱き締められながら
星を滲ませながら 頷きながら
「もう一度」を与えてしまうのだ
あのときの私は彼の言う「愛」という言葉が
いつかは赤くなることを
バカみたいに祈ってしまうのだった
永遠を歌うにはあまりに早すぎる
時を待てずに刈り取られた
かわいそうな青リンゴ
雨音
雨の音をずっと聴いていると
悲しい気持ちと穏やかな気持ちとが
コーヒーに入れたミルクのように
ゆっくりと渦を巻いて混ざり合う
窓の向こうの雨音は
いつか青い長靴で水たまりの中を 家まで帰った足音で
かわいらしくさみしそうに鳴っている
なんでこんなに降るのですか
どうしたら止むのですか
僕は小さい黄色い傘から空をのぞいて
必死に耳を澄ましてみたけど
雨足ばかりが強くなって
小さい傘を叩くばかりで
雨さんの答えは聴こえなかった
雨さんの答えは聴こえなかった
過ぎ去りしはるか遠くの日々の
色あせた景色が
街から彩度を下げた今日の雨景色と重なる
なんでこんなに降るのですか
どうしたら止むのですか
窓の向こうの雨音に
耳を澄ましながら
少し冷めたコーヒーを飲む
フェアプレイニュースvol.86「いつでも全力を尽くす」
2017年9月19日発行
「フェアプレイニュースvol.86」
日本体育協会が発行している全国の小中学校約3600校にて、廊下などに掲載される壁新聞「フェアプレイニュース」そのvol.86「いつでも全力を尽くす」の作画を担当させて頂きました。
今回の種目は「駅伝」。
中学校1,2年のとき駅伝をやっていた僕にとっては、とても想いの詰まったスポーツだったので、色々なことを振り返りながら作画させて頂きました。
背景やユニフォームなどは、当時のものを再現しています。
youtubeで、当時の駅伝の様子も公開されているので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。
「2008年箱根駅伝大会」
フェアプレイニュースvol.83「自他共栄」
2017年6月12日発行
「フェアプレイニュースvol.83」
日本体育協会が発行している
全国の小中学校(約3,600校)にて、廊下などに掲載される壁新聞「フェアプレイニュース」
そのvol.83「自他共栄」の作画を担当させて頂きました。
昨年のパラリンピックのコンプライアンスマンガに引き続き、パラリストの方達を調べながら描くことは大変勉強になり、その努力など、大変励みになりました。
どこかで見て頂けていたら幸いです。