かけがえのない一瞬

三輪亮介の日常ブログです。ここでは仕事の近況・日々の想いなどを綴りたいと思います。

いのちの戦場 アルジェリア1959★★★

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アメリカがベトナムを描いたように、
フランスもアルジェリアを描かねばならない

ブノワ・マジメル

誰も知らなかった戦争が、そこにはある。
1954年~1962年に及ぶ、フランスに対するアルジェリア独立戦争だ。
1999年まで、フランスはこの戦争を「戦争」とは認めなかった。国家単位でタブーとされていた真実を、戦争を知らない世代達が真摯に向き合う衝撃作!

そもそも、この映画に僕が出会ったのは運命的だった(と、勝手に思っている)。商業誌用のマンガ構想に入ったとき、僕の頭の中には「戦争」を絡めたアクションマンガがすぐに脳裏を過った。だからといって、その「戦争」をなんの戦争にするのか、主人公の裏設定(生年月日など)に合った戦争はないものか、興味本位で片っ端から探していたところ、この戦争に出会った。しかし、この戦争の記録はほとんどなかった。その一側面を見事に描いたとされる作品が、この『いのちの戦場 アルジェリア1959』であり、僕の貴重な資料の1つとなっている。

この戦争は非常に複雑な関係の中で行われる。世間的に見れば、この戦争は下記の勢力争いとなる。

フランス人(支配者) VS. アルジェリア人(被支配者)

しかし、この時の「フランス人」のくくりが長い歴史の中で、単に純フランス人を指していないことに大きなパラドックスが生まれるのである。1830年からフランスの植民地となったアルジェリアには、純フランス人達も移り住んでいた(コロンと呼ばれる)し、第2次世界大戦、インドシナ戦争においても、アルジェリア人達はフランス軍として従事し、純フランス人達と共に戦った。いわば、フランスと同化していたのである。
とはいっても、アルジェリア人達の処遇は、純フランス人達に比べると低いものであった。
居住区を並べてみても、純フランス人とアルジェリア人の割合によっては、教育制度や物資流通など、様々な格差がそこには存在した。そして、第2次世界大戦後、相次ぐ世界各国での植民地独立運動の中、アルジェリアもまた、FLNアルジェリア独立戦線)という革命軍を結成するのである。
しかし、上記の説明を汲んで、勢力図を作ると、異様な構図となる。

フランス軍(フランス人+アルジェリア人) VS. FLNアルジェリア人)

そう、アルジェリア人同士が殺し合う構図になるのである。さらに言えば、この間で苦しむ町民はこう入る。

フランス軍(フランス人+アルジェリア人)→町民(アルジェリア人)←FLNアルジェリア人)

どっちの味方になるかで拷問を掛けられたり、村中焼きつくされたり、惨殺されたり、と。
無関係な町民が一番の被害者になることになる。
この戦争の義はどこにあるのか。。。
映画『いのちの戦場 アルジェリア1959』はこの悲劇を容赦なくあぶり出している。

アルジェリア戦争を題材にした映画は、57年の市街戦の様子を克明に描いたジッロ・ポンテコルヴォ監督作『アルジェの戦い』(`65)があるが、これはイタリア映画である。フランス人が自身でこの戦争に向き合った映画はこれが初めてだ。
フランス映画なので、ハリウッドのような壮大な戦闘シーンなどはないが、本当に細やかな演出が見事!一小隊の目線ですべてが語られることに賛否両論分かれるが、僕個人的には個が参加する戦争の様相は、決して上空から映し出された大局的な映像ではないと思う。そう考えると、500人の隊よりは20人の隊の中に、個々人の戦争への関わり方は克明に描き出されるのではないかと思う。

エンターテイメントよりは芸術作品として、勝手に★3つ!
ちなみに僕はもう4度くらい観ています。