かけがえのない一瞬

三輪亮介の日常ブログです。ここでは仕事の近況・日々の想いなどを綴りたいと思います。

桜桃(さくらんぼ)③

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『桜桃(さくらんぼ)』やっとこさ完成!

31日付でCOMITIA91に出す『桜桃(さくらんぼ)』の一応の制作が終わりました。制作期間丸21日間!短かった!しかし長かった!

さて、今回はこの作品のテーマについてお話させてください。

テーマがない!?

今回の作品の特徴は「わかりやすい」ことです。
『Marie』『逆光』に比べて非常にわかりやすいストーリー構成になっていると思います。その点で「マンガマンガしている」作品です。
今まで僕の作品を手にとってくださった方々は、僕の作品を「かなりメッセージ性の強い作品」と認識しているのではないかと思います。もちろん、それを気に入ってくださった方もいたわけですが、今回は商業誌を意識していることもあって、そういった個人的なメッセージというのは極力省いています。よって、台詞のほとんどが僕の言葉ではなく、あくまで登場人物たちの肉声に絞っています。
そういった意味では、新しいメッセージ・想い・考えというのは今回の作品では特にないのかもしれません。

「希望」
とはいえ、最近の僕は「希望」という言葉にとりつかれているような気がします。『Marie』に出て来る「希望の家」、『逆光』に出て来る「希望の丘」、そして今回の作品の中にも「希望の丘」が出てきます。
別に意識していたわけではなくて、気が付いたら「あ、こんなに希望って言葉を使ってたんだなぁ」って感じ。なんだろう・・・こう考えると僕が絶望の淵にいるみたいで嫌ですね(笑)
ただ、前作まではこの「希望の家」、「希望の丘」を写真を使って処理をしていたものを、今回は僕の手描きになっています。これは、より僕のイメージを具現化することにこだわったからです。つまり、前回までただの「背景」だった場所が、今回は非常に大切な「舞台」になる。それを表現するには日常のリアルではなく、物語のリアルを追求する必要があったというわけです。ん~・・・説明すると難しいですね。下は実際の原稿です。
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サイドストーリーなんて存在しない。

本作品は前作『逆光』で出てきた清司くんと猫との出会いを綴ったサイドストーリーになっています。僕も当初、そのつもりで描き始めました。
しかし、実際筆を進めていくと、物語を作っていくと…
サイドストーリーという言葉なんて存在しないことに気づいたんです。
僕らが生きているこの世界でサブキャラなんて存在しないし、どんな人間でも主人公としてドラマを持っているんだなぁって思います。
確かに、「サイドストーリー」って言葉自体は作品の概要などをPRするときに非常に便利な言葉ではあるんだけれども、実際は「リンクしている」ってだけで、「サイド」ではない。

描いていて苦しかった作品ですが、その分、愛情も深かったりします。是非、今までとは違う僕の作品を手にとってご覧頂ければと思います。

次回はこの新作『桜桃(さくらんぼ)』を収録した『The Ropes~平成の常盤荘~Vol.3』発売のご案内とさせていただきます。

さぁ~て、寝よ、寝よ!